街バルにおける集客とリピーター化について

2014.11.12

マーケティング

先日、甲子園口で開催された「甲子園口バル&マルシェ」に行ってきました。
これは甲子園口周辺でイベントに参加している飲食店が対象となり、1コイン(500円)または2コイン(1,000円)で提供される、その日限定のバルメニューを食べ&飲み歩きする企画で、一般的に街バルとかバル街とか呼ばれていて、地方経済の活性化や飲食店の集客促進のために今や全国各地で開催されているイベントです。
西宮市内においても、飲み屋街のある地域では不定期で行われていて、中でも甲子園口バルは特に参加店舗数も多く(今回は123店舗が参加)、イベント全体の集客数も回を追う毎に多くなっているような印象を受けます(ちなみに第1回開催の時は延べ5,000人だったそうです)。
自分も当イベントに行くのはこれが3回目でしたが、すでに次回の開催が待ち遠しいです。

さて、最近飲食店のサイト制作依頼が続いたこともあって、ふと街バルにおけるマーケティングについて考えました。ほとんどの店舗において街バルに期待する効果は、少しでも多くのお客さんにリピーターになってもらう事だと思うのですが、どうすればうまく集客〜リピータ化できるのか、そんな話です。

街バルイベントでの集客戦略

リピーター化への第一ステップ、まずは集客についての話です。

お得感のあるバルメニューが成果を生むとは限らない

まず、消費者(イベントにくるお客さん)の思考やニーズによってセグメントし、それぞれの行動について仮説を立てて考えてみます。

街バルには「お得なバルメニューを食べ歩く」事を目的とした人が多く訪れます。これらの人はボリュームや食材の「お得感」で回るお店を決めます。

一方で「この機会に普段行かないようなお店を回りたい」という人も存在します。実は自分もこのタイプなのですが、街バルの賑やかで活気づいた雰囲気は、普段なかなか入りづらいような店への入店時の精神的なハードルを下げてくれる効果があると思います。もちろんバルマップを見て初めて知るお店なんかもあります。そして、こういった思考の人は、味やお店の雰囲気といった情報(事前に分かる範囲で)をもとに「新しい体験」を求めて回るお店を決めます。

「お得なバルメニューを食べ歩く」人は普段行くお店も食べ歩きの対象となるため、お得感を売りにするお店には既存顧客も多く来店することになりますが、後者の「この機会に普段行かないようなお店を回りたい」という考えの人は、当然ながら、普段行ってるお店は回る対象となりません。
また、前者は「お得感重視=バルメニュー重視」であるのに対して、後者は「新しい体験重視=お店重視」とも言えます。このような思考の違いによって、リピーターになりやすいかそうでないかが別れてきそうです。

お得感のあるバルメニューを提供しているお店にはやはり長い行列が出来て、人件費などを考えると売れば売るだけ赤字になってしまうという場合もあるようなので、色々な意味で体力が必要となってきます。新規顧客の獲得の為の投資と割りきってしまえば、赤字覚悟のお得感のあるバルメニューで集客することもひとつの手ですし、また、イベント自体も盛り上がります。
しかし、ターゲットを絞る事で、より効率的で質の高い集客をすることも可能となるのではないでしょうか。

ウェブサイトとSNSでの事前告知

街バルでは主催者側がイベント用のサイトを準備して、案内用のパンフレットを準備したりしてくれますが、参加店舗が多ければ多いほど自店の情報は埋もれてしまいます。バルイベント来場者へ自店を認知してもらうには、ホームページやFacebookなどのソーシャルメディアを活用し、しっかり事前告知をしておきたいところです。

特にウェブサイト上での告知については、例えば甲子園口バルの場合、「甲子園口バル」や「西宮バル」といったキーワードは競合性が低い上、街バル開催前に一気に検索ボリュームが増える傾向が見られるので、「地域名+バル」のキーワードだけでも上位表示出来るようにしておけば、イベント時の来店者数は変わってくるはずです。

バルで来てくれた人をリピーターにするために

街バルでは多い店舗では一日で数百人規模の来店があるようです。
ただし、この時に来店した人の多くは、バルメニューだけを注文し少ない滞在時間で次の店へと移って行きます。この時点では新規顧客というよりも、「お試しキャンペーン」の利用者に近いような性質のユーザーです。実際に店の雰囲気やサービス、バルメニューの味を認知している見込客といったところでしょうか。
なので、店舗としてはこれらの見込客を一人でも多く顧客へと引き上げる施策が必要となってきます。

バルメニューは種類が多いほうが有利

バルメニューとして提供する料理はクオリティも重要ですが、それ以上に種類が多いほうが有利です。
イベント中にやってくるお客さんは食の趣味も様々です。少量でいいので数種類の盛り合わせを出すか、客自身が選択できるようにしておいたほうが、多くのお客さんの満足に繋がります。準備が大変だとは思いますが。。。

普段のメニューも客席に置いておく

これは実際に自分が客としてバルイベント中に気になったポイントなのですが、バルメニューの味やお店の雰囲気が気に入ったとしても、普段のメニューや価格帯などがわからない場合は、なかなか次回も来ようという気持ちになりません。特に素材や器などに結構こだわっている様なお店の場合は、それだけで高そうというイメージが刷り込まれてしまい、たとえそうでなかったとしても、普段も利用したいお店から外れてしまう可能性があります。
なので、イベント当日は注文をバルメニューのみに限定しているお店の場合でも、お客さんの手の届くところに普段のメニューを置いておくことは大事です。

次回使えるクーポンやスタンプカードの配布

これはあまりやりたくないお店も多いかと思うのですが、再来店の動機付けとしてはかなり有効かと思われます。
また、イベントで4〜5店舗もはしごすると、だいたいの人はお店の名前を忘れてしまいます。ショップカードでも構わないので、店舗名の記載されたものを渡すことは有効な施策の一つです。

まとめ

実際に街バルで見られた施策もあったりしますが、そういったものも含めてざっと書いてみました。店舗によって色々な都合があると思うので、実施できることとできないことがあるかと思いますが、少しでも参考になれば幸いです。

「バルイベントで来店したお客さんはほとんどリピーターにならないから、次回は参加しないかも」といった話をお店側の方から何度か聞いたことがあるのですが、自分は先述した通り街バルでは新しいお店を探して、それをきっかけにリピーターになるタイプの人間なので、必ずしも効果が無いわけではないと感じています。

外部の人間が口出しするのも差し出がましいような気もしますが、イベント主催者も来場者へのアンケートを実施するなどし、効果測定や事例の共有といった店舗側のモチベーションが上がるような体制を整えることで、今よりさらにお店もお客さんも満足するイベントになるのではと感じました。

そして何よりいち街バルファンとして、今後もバルイベントが続いてほしいという希望も込めて書かせていただきました。最後に一つ、確実に言えることは、次回も甲子園口バル行かせていただきます。

最後に一つ宣伝させてください。「飲食店プラン」始めました。

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